後藤真希に「オリビアを聴きながら」を歌わせる。選曲理由が(ASAYANの)オーディションで歌ったから。もうこれだけで、コメント終了したくなるところだが、一応フォローだけはしておこう。これは2002年のハロープロジェクトのカバー曲集「FOLK SONGS(2)」に納められている。ただし、後藤真希自身はこのアルバムには参加していない。紅白で持ち歌がある歌手が、カラオケで歌う(別曲かつ本人未録音)のは、ほとんど例がない。曲でなく人で選ぶのが紅白のポリシーとは言え、本番で曲紹介に困ると思う。上に書いたような理由を言われても、見ている方は「何のこっちゃ」だろう。
倉木麻衣は、デビュー曲でも2枚目でも紅白の視聴者層の印象は変わらない。緊張しすぎなければそこそこ歌えそうだし、容姿では他の出場者には負けるところはない。問題は、初期のR&B色の強い曲と今の彼女の曲とは隔たりがある。紅白効果で最新アルバムを手に入れた人に「看板に偽りあり」と思われてはいけない。この辺を彼女のスタッフは考えているのだろうか。
演歌系の先祖返りも今年は特に目立つ。過去の栄光にすがりたい気持ちには同情するが、氷川きよしを始め、神野美伽や長山洋子、水森かおりなど一定のセールスを挙げている人もいるので、過去より未来を見ていただきたい。
早くあげないと「事前」分析にならないので、以下疑問形で略説する。ZONEはなぜ「secret base 〜君がくれたもの〜」を2年連続歌うのか。「いい日旅立ち・西へ」なぜ鬼塚ちひろではなく谷村新司なのか。なぜ山口百恵の曲が2曲もあるのか。さだまさしはなぜ今年「精霊流し」を歌わないのか。伊藤多喜雄はなぜ復活したのか。山川豊が去年落ちて今年通ったのか。華原朋美が2年連続なのはNHKのレギュラー持ちだからか。天童よしみ「美しい昔」は純正タイアップだからか。
例年以上に変わり映えのしない出場者、去年の中島みゆきのような目玉がない紅白は、史上最低の視聴率が予想されている。民放の隙間攻撃を避けるため、NHKは直前まで曲順を発表しないという奇策にでた。しかし、相手の格闘技は多少の時間調整は可能なはずで、無駄な努力に終わるだろう。
未確認情報として「SMAP大トリ」説が流れて、実際そのとおりになった。ポップス系がトリを取ったのは1997年の安室奈美恵ご祝儀以来のこと。演歌系のグルグル人事では、演歌に泣かない世代にはアピールできないという判断だ。と、思っていたら、紅組のトリは天童よしみで、中途半端な形になった。今年は何故か演歌歌手の先祖返り(デビュー曲を歌う)が多いので、吉田よしみ名義で「いなかっぺ大賞」をやるくらいの芸は見せてほしかった。あ、それだと、はなわ&テツandトモと組めて一石二鳥だ(笑)。
結局、白組の演歌系は候補者を出せないくらい層が薄い、という結論になる。出場4回の氷川きよしでは、ベテランを差し置いての形になって具合が悪い。そこで、出場12回で今年一番のセールスをあげたSMAPを担ぎ出した。これなら角が立たない、というわけだ。紅組は「鳥取砂丘」が売上30万枚の水森かおりや復帰した坂本冬美、和田アキ子など、まだ手駒が残っている。その中から今回は天童よしみを選んだことになる。
初出場13組のうち9組はほぼ納得いくところだが、残りの4組、ゆず、倉木麻衣、愛内里菜、後藤真希は、去年でなく「今年」にした意味がはっきりしない。去年の後藤真希は、モーニング娘。関係は3組が限界、という政治的な理由だったと想像できる。しかし、愛内里菜が今年特別にがんばったとは言えないし、ゆずと倉木麻衣は今更としか思わなれない。
その辺は、NHKのスタッフも心苦しかったのか、ゆずは「夏色など…」と複数曲を歌うことになっている。倉木麻衣は、その頃から出演してほしかったというアピールなのだろう、2枚目のシングルを歌うことになる。
愛内里菜は、倉木麻衣と違って去年くらいからそこそこTVへの露出もあったので、ジャイアンツ応援歌の「FULL JUMP」のおかげでもあるまい。いずれにしても、今回の出場者の中では一番の歌のうまさなので、いつものように切れの良い歌を聴かせてほしいと思う。
はなわとテツandトモは、一生一度の出場と思われるので、一山いくらはあんまりだ。過去の植木等やドリフと比べても、若手お笑い芸人の扱いは相変わらず軽いことがわかる。現場の2組の居心地の悪さも想像できるので、余計に可哀想だ。だが、何をやっていたかもわからない「ベテラン」歌手よりは、絶対今年を感じる人たちなので、自信を持ってやってほしい。