紅白2003の事後分析

 歌合戦と言うからには、女子十二楽坊を出しちゃダメだと思いつつ、勝敗に関係ないコラボレーション・コーナーだったから、ぎりぎり許せる範囲か。全体を通してみると・・・やはり盛り上がらなかった(笑)。何とか盛り上げようと司会陣が張り切っているのに、歌い手の側はどこか白けているように見えた。ともかく、歌っている方がちっとも楽しそうじゃないので、見ている方も楽しいはずはない。

 中でも、ポップス系を2部に固めた結果、1部に回された演歌系のやる気のなさはひどかった。NHK側も、石坂浩二まで引っ張り出して「ご当地ソング」と理屈をつけたが、それなら石川さゆりや五木ひろし、ベトナム民謡の天童よしみも入るはずで、嘘っぽさを隠せない。

 ポップス系も、登場回数からすればベテランのはずの安室奈美恵の「出たくなかったのかよ」的覇気のなさと(1曲歌うだけで息が上がっているし)、モーニング娘。の「一度くらい生で歌ってくれよ」的口パクには、十分に気が滅入った。

 中島美嘉は、音程のふらつきが大きかったのと、肩に力が入りすぎてイマイチ。レコ大のときの方が良かった。愛内里菜は重たい衣装が原因か、最初声が出てなかったのが残念。軽装になった途端いつもの調子に戻ったので、前半が良ければ紅白ベストの歌唱だったのが惜しい。倉木麻衣は原曲のR&B色を消して、今のアレンジにしていたのは良かったが、今回の目玉なのだから、国宝云々と余計な紹介をやめてもフルコーラス歌わせないとダメだろう。

 勝敗は、SMAP大トリが決まった時点で見えていた、というのは後付すぎるとしても、ここまで差が付くとは思わなかった。持ち駒は紅組の方が豊富だったはずで、演出に問題があったと思われる。しかし、SMAPにはもっと歌をがんばってもらわなくては。「RING SHOW」で中居正広が「(歌は)素人ですから」と言っていたが、SMAPのMはMusicのMだということを忘れては困る。念のため、SMAPは「Sports Music Assemble People」の略。

 はなわ・テツandトモで画面が一瞬真っ暗になったのは、テレビ的には致命的だろう。一青窈の曲紹介が歌と被ったのに失敗したと思ったのか、aikoの紹介が今度は早すぎで妙な間が空いた。次のELTでは曲が終って持田香織が「ありがとうございました」とあいさつしている途中、次の曲紹介を始めた。

 最後の採点でも、掲示板がうまく表示されないトラブルが発生して、印象が悪いまま終ってしまった。総合司会の武内陶子アナ、必死で盛り上げようとしているのはわかったが、余裕がなさすぎで何だかかわいそううに思えてきた。この辺、スポーツ畑の有働アナの方が打たれ強いと言うか、悪条件時のトラブル処理能力は上だっただろう。

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