そんなこんなで、番組を卒業したあと追加オーディションをやってくれるとは思えないので、いずれは「そして誰もいなくなった」状態になるのは目に見えています。もちろん、最後に残るのは中澤ゆうこ(裕子)に決まっていますね(笑)。ポスト長山洋子の路線で行けば食いっぱぐれることはないでしょう。
ところが、ハイスピードで走り続ける彼女たちは、他のアイドルの何倍もの速さで消耗していきます。定期的に脱退者が出るのもそのためで、グループを去った3人が廃業・結婚・脱アイドルと、絵に描いたようにアイドル引退の流れに乗っています。言いにくい話ですが、やめた人は順に頭良さそうに見えます。芸能界に残る場合でも、モーニング娘。からはさっさと足を洗った方が長持ちするでしょう。
モーニング娘。にはいわゆるアイドル性は皆無に近いですが、本人たちの意思とは関係なく、プロデューサーの一方的な命令や番組構成上の「大問題勃発」に、さして不満ももらさずに従っている(ように見える)状態は、アーティスティックとは言えません。しかし、アイドル冬の時代を経て定型がなくなった結果、好きなようにやっている(ように見える)アイドルたちが増えたいま、それを生意気だと思う人が増え、ひたすら従順なモーニング娘。を見ると安心するのでしょう。
モーニング娘。が当初オーディションの最終予選で落ちた人を集めて結成されたのは有名ですが、そのときに優勝(と言うのか?)だった平家みちよが、赤青黄色プロジェクトで救済されているのは何とも皮肉なものです。それでいて、メンバー増量にまたオーディションをやっているのには、矛盾を感じますが、随時メンバーを補充することで、聞き手に「自分もメンバーになれるんじゃないか?」という幻想を与えることができ、それが彼女たちへの親近感を覚えさせます。それで、これはどこかで聞いたような話だと思うとおりで、おニャン子クラブの方法論と同じです。1つだけ違う点は、彼女たちは自分たちのことを「アイドル」とは全く思っていないことでしょう。
初っぱなから「父さん母さん、ありがとう」と言われても、「あんたは森昌子か」とあまりにも古い突っ込みを入れるしかないですが、遂に行き着くところまで来たと感慨深いものがあります。つんくの曲自体には相変わらず手抜きがないのが逆に空しいです。ASAYAN卒業もうなずけます。番組の手を離れることは、TBSのバレー特番の宣伝キャラクターとして使われていることからもわかります。
モーニング娘「Loveマシーン」、これはまさに世紀末の音楽にふさわしいものですね。内容空虚な歌詞と威勢だけはいいサウンドが相まって、幕末の「ええじゃないか」のお祭り騒ぎを思い出させます。聞いていてこれだけ暗くなる曲も最近珍しいので、そういう意味ではとても印象深いです。
新メンバー後藤真希は確かに可愛く見えますが、アイドルとしてはこれが水準であって、彼女を可愛いと思えるようであれば、モーニング娘。に問題があると考えるのが自然です。しかし彼女にも波状的に大試練が与えられると思うと、他人事ながら同情します。
増量予定のモーニング娘。予想通りとは言え、素直に2名増とはいかないようですね。チェキッ娘に対抗してじゃないでしょうが、彼女たちには音楽以外で話題作りをしていく必要があるので、今後とも同様の仕掛けは繰り返されると思われます。
負けてしまってから小田原評定しても、何の解決にもなりませんね(笑)。シングル乱発で売れ行きも下降線のモーニング娘。と久しぶりの鈴木あみでは、戦う前に勝敗はついていたとわかりそうなものですが、彼女たちにそういうことを考える余裕はないのでしょう。それにしても、同じようなオーディションから出たのに、片方は順風満帆もう片方は「大問題勃発・大試練」の連続、に何の疑問も持たないような彼女たちは幸せですね。