月9は「プライド」、土9は「彼女が死んじゃった」。両者の違いをまさに表すタイトルである。
月9は十年一日、シチュエーションとキャストは変わっても、中身は毎回似ている。1回目と2回目を見て、竹内結子の鼻の穴が大きい(と言うか鼻が上向き)くらいの感想しか浮かばなかった。ラストはアイスホッケー部に廃部の危機が訪れるが、木村拓哉with竹内結子+αの活躍によってそれを脱するパターンしかない。3組の恋の行方は何でもありだろう。視聴者の反応を見てシナリオを変えることもあると思う。
土9は今年度「すいか」と並ぶ秀作になる予感がある。何と言っても一色伸幸の脚本がすばらしい。「今度はわたしが入れる番」と言って、木村佳乃が長瀬智也に半端強引にキムチ雑炊を食べさせる台詞など、初っぱなから一色節が冴え渡る。
初回から人が死ぬと暗い話になってしまいそうだが、不思議な明るさがある。2回目からは彼女が死んだ理由を探すためのロードムービーになるようで、とても楽しみである。
「たけしの最終警告SP本当は怖い家庭の医学2」。これは本当に怖い。寝る前に見たら夢でうなされそうだ。無理なダイエット編:「骨祖鬆症で43歳で寝たきりに」「便秘のため腸管破裂で死亡」。肩こり編:「脊髄損傷で全身麻痺に」「心筋梗塞で突然死」。結核編:「祖父の結核が再発し孫に感染、2人とも死亡」「耐性菌で看護婦が死亡」。「たばこでCOPDになり酸素呼吸」。
書いていて暗くなってきましたが、スタジオでも事例が紹介される度に雰囲気が重くなったのがわかった。実際には、COPDを除くとそこまで行くのは極めてまれなケースで、あんまり心配する方が逆に身体に悪いような気がするが、年1回くらいは生きてて良かったと思うことも必要かもしれない。
フジテレビ「太閤記〜サルと呼ばれた男〜」。平和主義者の秀吉は、さすがに史実と違うと思いつつも、2時間半に凝縮されたストーリーは贅肉だらけの大河ドラマと対照的で、スピーディーな展開を楽しめた。藤木義人の丁髷には最後まで違和感が残ったが、草なぎ剛の軽妙な演技には磨きが掛かって来たし、脇の配役も適切だった。中でも「僕の生きる道」の先生役小日向文世の淡々とした演技が良かった。
「太閤記」自体には史実と違う点が多数あるので、それを元にしたドラマにも同様の誤りがある。金ヶ崎城からの撤退でしんがりを勤めたことは「藤吉郎の金ヶ崎退き口」として有名だが、実際には光秀もそこにとどまったことが知られている。
本能寺の変で光秀が裏切った理由も、単純な恨みや権力欲ではないこともわかっている。要するに史書は作った人によって都合良く味付けされてしまうということ。このドラマでは、松下嘉兵衛の回想として語られるので、多少の誤り・聞き違いがあっても仕方ないな、と思わせるところがポイント高いと思う。
メディアの取り扱いは小さかった。と言うより有線大賞自体の扱いが小さかった。20年前なら大騒ぎになっていただろうが、大賞の権威が落ちているいま、大した問題にはならなかったようだ。もちろん、テロッパーには多少の社内処分はあるだろうが。
それにしても磯野貴理子が音楽賞の司会までやるとは思わなかった。うるさいと言われながら、TV画面の露出は明らかに増えている。「行列のできる法律相談所」では、ネタに困ると島田伸介は貴理子に振るし、「伊東家の食卓」でも、最初はゲストかちょい役だったのに、いつの間にか場を仕切るようになってしまった。ちょっとでも居場所を与えられると無制限に広がっていくアメーバのようなキャラクタである。
はなわの「受賞カモンカモン」なパフォーマンスに乗って、新人賞発表の瞬間にコケて見せた一青窈は、コメディアンヌとしても食えると言い切ってしまいたい。何とか泣かそうとする司会の磯野貴理子たちに対して、いつもどおりカラっとした調子で答えたのがとても良かった。しかし、いつから最初から立って歌えるようになったのか、説明義務があると思う。
祝!氷川きよし日本有線大賞受賞。いよいよ発表というところで、TVの前の(一部の)視聴者は大笑いしていたのではなかろうかと。CM明けに恐らくタイミングを誤ったのであろう、「氷川きよし、日本有線大賞受賞」というテロップが流れてしまったからだ。ほんの一瞬だったので、気づかなかった人は幸いである。メディアがこれをどう取り扱うのか楽しみだ。見なかったことにするのか笑い話にするのか。TBSのテロッパーの処分なども気になる。